638)陽気なバイオリン弾き

 

ヴォロージャ来たりて
静かに笑う。

ヴォロージャ来たりて
熊手をひきずる。

やがてポケットから
白パンをとりだすと

二匹の犬が
ギャロップで駆け回る。

バイオリン弾きは 砂を
一心に 眺め

いつもどおり バイオリンのほうへ
こめかみを 傾ける。

人々は思う。
「ほら、これが演奏だ!
聴こうじゃないか
 一晩中 朝まで!」

 

ダニール・ハルムス

1939



雑誌「マヒワ」(Чиж)に収録されたもの。